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第99回再現医師国家試験解説書・必修篇
急性胆管炎治療の第一選択[2005/06/08追加]

p.44 99B-40 POINT

 急性閉塞性化膿性胆管炎は,総胆管結石の嵌頓や総胆管癌,膵頭部癌などが原因となる。胆汁のうっ滞によって敗血症性ショックから死の転帰を辿るため,緊急のドレナージが必要である。抗菌薬による保存的治療は予後を悪くするだけであり,なるべく早期の処置が望ましい。
 かつては,胆管炎に対しては経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)が第一選択で,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は禁忌とされていた。しかし,1990年台にはERCPを利用した内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage:ENBD)の機器と技術が飛躍的な進歩を遂げた。
 特に急性胆管炎の多くは胆管結石の嵌頓であり,胆道癌による閉塞性黄疸に比べて胆管拡張が軽度であり,PTCDが技術的に難しいのが問題点であった。しかし,胆管結石嵌頓では乳頭が弛緩するため,ENBDは技術的に容易となる。ENBDで胆管炎が改善した後に,ERCPを用いた内視鏡的乳頭括約筋切開(EST)または内視鏡的乳頭部バルーン拡張(EPBD)を行い結石を摘出すれば開腹術は多くの例で不要である。
 以上の理由で,現在では胆管炎ドレナージの第一選択はENBDである。

(臨床医からのご意見)