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化学
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役にたつフローインジェクション分析

高速・高精度が要求される環境分析・工業分析・臨床分析など現場分析での試験方法・実験方法,トラブル処理等を解説した実用書

役にたつフローインジェクション分析

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   紙書籍 
小熊幸一(千葉大学名誉教授)監修
本水昌二(岡山大学教授)監修
酒井忠雄(愛知工業大学教授)監修
(社)日本分析化学会
フローインジェクション分析研究懇談会 編
著者一覧
[みみずく舎:発行]

B5判,192頁,1色刷
2009/04/23発行
¥3,520(本体¥3,200+税¥320)
ISBN 978-4-87211-938-1
工業分析、環境分析、臨床分析など様々な領域への応用と自動化、高速・高精度な分析が可能。
高速・高精度の現場分析が可能。
ISO規格に採用、また近い将来には流れ分析(FIA)を用いたJISの個別規格が制定される予定。
FIAで遭遇するであろう典型的なトラブルへの対処法を掲載。

 1975年にRuzickaとHansenにより,フローインジェクション分析法(FIA)が高速・高精度な自動分析法として報告されてから30年あまりが経過しました.この間,FIAに関し,分析操作のシステム化と方法論の双方から活発な研究が展開され,多数の論文が刊行されるとともに装置の改良が行われてきました.装置面では,シーケンシャルインジェクション法,ビーズインジェクション法等の新規試料注入法が提案され,分析システムのマイクロチップ化も進展し今日に至っています.
 日本分析化学会FIA研究懇談会は,1984年に発足したFIA研究会が1990年に名称変更されたもので,2008年には創立25周年を迎えました.本会は会誌を年2回刊行し,講演会を年3回開催しています.会誌は世界で唯一のFIA専門誌で,海外からの論文投稿も多く,高い評価を受けています.また,特記すべきは,1995年以降,International Conference on Flow Injection Analysis(ICFIA)を共催し,FIAの発展に貢献しています.2008年9月には本会の25周年記念講演会を兼ね第15回ICFIAを名古屋で開催しました(実行委員長:酒井忠雄,本水昌二).本書は,第二の25周年記念行事として企画されたものです.
 FIAは多くの長所を有し,その長所を活かした実用分析法も多数開発されています.たとえば,2002年に改訂された上水試験方法において,窒素やリンの定量に流れ分析法としてFIAが採用されました.ISO規格では,硝酸,亜硝酸,アンモニア,塩化物の定量に流れ分析法が採用され,JIS規格では,1989年にFIA通則K 0126が制定され,2001年の改訂を経て,2009年に流れ分析通則と名称を変えた改訂版が刊行されます.最近,流れ分析法を用いた窒素やリンの定量法をJISの個別規格化する委員会が発足し,その活動が始まっています.したがって,流れ分析を用いたJISの個別規格が制定される日も近いと思われます.
 本会は,2000年に創立15周年記念行事として,国内の研究者による約300編の論文を収録した技術論文集(Journal of Flow Injection Analysis, 15th Anniversary Special Issue, Vol.16, 2000)を発刊いたしました.その論文集発刊の意図は,実用的かつ分析的応用に優れた研究・データを公表し,現場分析に利用していただき,分析現場でのFIAの一層の普及を図ることでした(同論文集「発刊によせて・本水昌二」より).本書も,分析の現場でFIAをお役に立てていただけるように下記のような内容となっています.
 前半では,まずFIAとはどのような方法で,どのような特長をもっているかを記述しています.次いで,FIAを実行する際に用いる装置を,単純なものから複雑なものへと,代表的な分析対象を例にあげて解説しています.それらの例は,分離・濃縮の機能を組み入れた装置や複数の成分を同時定量または逐次定量できる装置の例とともに,読者が新規に装置を構成する際に有益なヒントを与えるものと確信します.また,FIA関連分析法として開発された,シーケンシャルインジェクション分析法,ビーズインジェクション分析法,lab-on-a-chip/FIA,lab-on-a-valve分析法,µFIA,multi-syringe FIA,multi-syringe FIAなどのユニークな手法も紹介されています.新手法を試みたい方にとって参考になります.
 後半では,FIAの応用例を,環境分析,工業分析,臨床分析等について14項目に分類して紹介しています.FIAがどのような分野のどのような成分の分析に適するかを知ることができ,FIAを特定成分の分析に応用する際の指針になります.最後に,FIAで遭遇する典型的なトラブルの対処法が示してあります.この章は,FIA装置をスムーズに作動させ,精確な分析値を得るうえで貴重な情報源となります.
 本書が,FIAを初めて利用される方ならびにすでに利用されている方の双方に,お役に立つことを願っています.
 終わりに,本書の刊行にご尽力いただきましたみみずく舎/医学評論社編集部諸氏に厚く感謝申し上げます.
 2009年3月

 監修者 小熊幸一
 本水昌二
 酒井忠雄

目次
1.FIA
 1.1 フローインジェクション分析法(FIA):誕生,発展そして将来
  1.1.1 FIA誕生:バッチ分析,空気分節流れ分析から非分節流れ分析へ
  1.1.2 FIAの展開と発展:化学分析の自動化へ
  1.1.3 FIAの将来展望:FIAからFBA,CAFCAへ
 1.2 フローインジェクション分析法の基本概念と原理
 1.3 フローインジェクション分析法の特徴と利点

2.分散とFIAシグナル
 2.1 試料ゾーンの分散
 2.2 FIAシグナルと分散度
 2.3 流路系と分散度
 2.4 FIAシグナルの解析
  2.4.1 ピーク高さの測定
  2.4.2 ピーク面積の測定
  2.4.3 こう配の測定

3.FIA装置の基本構成
 はじめに
 3.1 送液装置
 3.2 試料注入装置
 3.3 反応コイルおよび各種前処理装置などの接続
 3.4 オンライン分離システムを組み込んだFIA
  3.4.1 気-液分離法を用いるFIA
  3.4.2 オンライン溶媒抽出FIA
  3.4.3 オンラインカラム濃縮FIA
 3.5 検出器
 3.6 シーケンシャルインジェクション法の装置構成

4.FIAの基本流路
 はじめに
 4.1 シングルチャネルFIAシステム
  4.1.1 試料の輸送を主とする場合
  4.1.2 試料の輸送と反応の役割を担う場合
 4.2 デュアルチャネルFIAシステム
 4.3 マルチチャネルFIAシステム
 4.4 閉鎖ループFIAシステム

5.試料/試薬の機能的導入法
 はじめに
 5.1 マージングゾーン方式
 5.2 サンドイッチ方式
 5.3 ゾーンサンプリング方式
 5.4 リバース方式
 5.5 試薬リサイクル方式
 5.6 マルチチャネル方式

6.機能的同時検出法…手嶋紀雄
 はじめに
 6.1 化学平衡反応を利用する同時検出法
  6.1.1 単数検出器・単数検出場の利用
  6.1.2 単数検出器・複数検出場の利用
 6.2 反応速度差を利用する同時検出法
  6.2.1 単数検出器・単数検出場の利用
  6.2.2 単数検出器・複数検出場の利用

7.オンライン前処理法
 はじめに
 7.1 酸化還元
  7.1.1 元素の酸化還元
  7.1.2 Cd-Cu還元カラム:硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元
  7.1.3 紫外線照射による光酸化還元
 7.2 分離・濃縮
  7.2.1 気-液分離(ガス拡散)
  7.2.2 液-液分離(溶媒抽出)
  7.2.3 固相カラム処理
 7.3 加 熱

8.FIA関連分析法
 8.1 シーケンシャルインジェクション分析法
  8.1.1 SIAの原理
  8.1.2 SIAの適用例
 8.2 ビーズインジェクション分析法
  8.2.1 BI分析法の原理
  8.2.2 BI分析法の適用例
  8.2.3 磁性ビーズを利用するBIイムノアッセイ法
 8.3 lab-on-a-chip/FIA
 8.4 lab-on-a-valve分析法
 8.5 multi-syringe FIA
 8.6 マイクロFIA

9.自動分析計の構築法
 9.1 コンピュータによるシステム制御
  9.1.1 コンピュータによる制御方法の概略
  9.1.2 オンライン自動前処理濃縮
  9.1.3 コンピュータ制御型FIA装置
  9.1.4 連続モニタリング装置
 9.2 データ処理
  9.2.1 コンピュータソフトを利用するデータ処理装置
  9.2.2 連続モニタリングシステムにおけるデータ処理

10.FIAの応用
 10.1 環境分析:水圏
 10.2 環境分析:気圏
 10.3 環境分析:地圏
 10.4 鉄鋼分析
 10.5 ケイ酸塩,セメント,セラミックス分析
 10.6 臨床化学分析
 10.7 生化学試料分析
 10.8 医薬品分析
 10.9 食料・食品分析
 10.10 肥料・農薬分析
 10.11 化学工業原料・材料分析
 10.12 超純水
 10.13 工程管理分析
 10.14 排水分析

11.トラブルシューティング
 はじめに
 11.1 トラブルレスFBA
 11.2 FBA装置の構成とトラブルレスFBA
  11.2.1 フローインジェクション部
  11.2.2 検出器
  11.2.3 システムの構築
 11.3 オンライン前処理操作のトラブルレスFBA
 11.4 試料の性状および調製法からみたトラブルレスFBA

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