平成 13 年に全国の医学部共通のコアとなる教育内容をガイドラインとして提示した「医学教育モデル・コア・カリキュラム」(以下,「コア・カリ」)が発表されて以来,カリキュラムの改変,授業形態の変化,共用試験(CBT と OSCE)実施,臨床実習の重視など,日本の卒前医学教育は大きな変化を続けています。本書「CBT こあかり オリエンテーション」は平成 17 年に,「コア・カリ」に沿った医学生用教科書が見当たらないという状況の中で,臨床実習開始までの医学生の学習の指標となることを目的として出版されました。
医学部にあっては,大講義室での一方向的な知識伝授型講義が減少し,自学自習やテュートリアルとグループ学習の必要性が年々高まっています。「コア・カリ」の各到達目標は具体的な行動目標として意味は明快ですが,「何をどこまで」という学習内容は明示されていません。そこで初版では「コア・カリ」のすべての到達目標(臨床実習を除く)について,求められている学習の方向性や深さを一読して把握できるよう,各到達目標の核心となる学習内容を 100〜200 字程度で解説しました。
その後,本書は 2 版,3 版で平成 17 年度から開始された CBT の出題内容を加味し,図表を増やし,また「コア・カリ」平成 19 年度改訂版を反映させて,学習の指標としての改善を続けてきました。
平成 23 年 3 月,「コア・カリ」平成 22 年度改訂版が発表されました。この改訂版では,医学教育に対する社会の要請を反映して,何を知っているか,ではなく,何ができるか,を医学部卒業時までに具体化する内容となっており,また個別到達目標も数多く変更されて,大幅な改訂となりました。本書第 4 版はこの改訂に対応して新たに執筆,編集したものです。
本書の目的は一貫して,医学生が学習の到達目標と現在の立ち位置を確認して自身の学習の方向性を見出すのを支援することにあります。CBT のための効率的学習用教材としてだけでなく,医学生としての毎日の学習の到達度確認に役立つものと確信しています。
平成 24 年 2 月
編著者