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第108回医師国家試験 概評

 最初に何よりも,3日間500問の長丁場をしのいだ受験生の皆様に,心から「お疲れ様でした」と申し上げたいと思います。そして,出題委員の先生方,事務当局のご見識とご努力とに敬意を表したいと思います。
 以下,今回の国試の特徴を述べたいと思います。

(1)「割れ問」が増加した。
 どう見てもこれは専門医試験レベルであろう,という問題が散見されました。このような問題は医学的な内容は妥当であっても,学生レベルではテキトーに解答するしかないため,どうしても割れ問になります。
 次に,専門医の間でも答が割れる問題も散見されました。例えば,ある科目の臨床問題では,筆者が専門医にうかがったところ「これは答は決まりませんねえ」という問題が数問ありました。筆者の専門領域でも,出題の意図が不明なために解答できない問題がありました。
 さらに,選択肢の中に妥当なものがないのではないか,という問題も散見されます。
 以上,106回,107回に比較して割れ問の数は明らかに増加しており,受験生にとっては解答しづらい問題と感じられたと思います。

(2)「画像一発問題」が増加した。
 「画像一発問題」とは,臨床情報が皆無で,単に画像診断や病理標本を示すだけの問題です。今回はこのような問題が散見されます。106回,107回では皆無だっただけに目立ちます。この点でも,受験生は解答しづらく感じたと思われます。
 私見を述べますと,臨床の現場で,臨床情報なしに画像診断や病理診断だけ行う場面というのは絶無です。国試では,臨床の実務に即した問題を出題して頂きたいと念願します。

(3) 題材の重複が目立った。
 これは107回もそうでした。108回は肺癌の問題が多かったと思います。肺癌は先進国共通のmajor killerですから,これは実務に即していて良いと思います。しかし,海馬関連の問題,縦隔腫瘍の問題が2問ずつありました。その他にも題材の重複が散見されます。

 以上を踏まえて108回を総括致します。

(1)難易度はある意味では上がったが,ある意味では同程度である。
 これは何のことかわからないと思います。
 解答しづらい問題,さらにいえば解答不能な問題の比率は明らかに107回よりも多く,その意味では難化した,ということになるでしょう。ただし,107回は「臨床実務能力を(今までの国試以上に突っ込んだレベルで)問う」という意味で難しかったのに対し,108回は臨床実務能力はさほど問われていません。単純に知識面で,あるいは題意の把握面で,解答が困難な問題があった,ということです。
 そのような意味で,難しさの質は107回と108回とでは差があります。しかしミもフタもない言い方をすれば,107回のような難しさも,108回の難しさも,受験生にとっては「解答しづらい」という点では何の違いもありません。そして,解答しづらい問題の比率は,107回も108回も大差はありませんが,テコムの集計によると107回に比して一般問題・臨床問題ともに合格基準は若干下がると予想されます。

(2)必修問題に関しては107回と同程度である。
 受験生最大のプレッシャーである必修問題ですが,難易度の点では107回と差がないと思われます。粗悪な出題も散見されますが,幸いなことに少数です。余りに粗悪な問題については採点除外などの措置が取られるでしょう。
 よって,必修問題での不合格者は例年並みと推定します。

(3)禁忌肢も気にしなくてよい。
 今や完全にステルス化し,しかし「純粋に禁忌肢問題だけで落ちた」という実例がほとんどないために,誰も気にしなくなった禁忌肢問題です。今回も「禁忌肢落ち」はほとんどないと予測します。
 総じて,108回国試は,解答しづらい問題はあるものの,その比率は高くなく,日ごろの勉強の成果通りの結果が出る問題であると評価できるでしょう。