6年制による新体制の薬剤師国家試験がスタートして5年が経つ。国試・全345問には必須問題や複合問題,さらに複択問題や足切り等が導入され,薬学生にとって大きな難関となっている。99回,100回では合格率が6割台となり,101回より足切りが緩和されたとはいえ,出題問題の難易度が大幅に下がるという傾向を示すものではないであろう。
ただ,過度に国試を恐れることはない。6年制においても国試対策の基本は,過去問を数多く解くこと,基本を押さえることである。「過去問を征する者は,国試を征する」── この鉄則は変わらない。4年制国試で出題された類型問題は,数多く6年制でも出題されている。本書には,6年制国試も全問含まれている(最新101回は別冊)が,過去問に数多く触れ,国試がもつ特徴・性格を知りつくすこと,さらに今後出題される傾向を本書の豊富な解説と情報から知ることが国試合格の必須条件である。
── 過去問ならば,『わかる本』──
「国試」を学ぶのであれば,この「国試がわかる本」シリーズが最良であり,また必要不可欠である。本書は他社に類をみない国試攻略上必要な最大限の問題数を掲載し,さらにその一問一問に丁寧な解説を加えている。この「丁寧な解説」こそが本書のモットーであり,多くの先生・学生方に支持される所以である。つまり国試を解き,解説を読むことによって,併せてその範囲の学習ができ,広い知識が修得できるように構成されている。また,より深い学習と新傾向対策のために「ここまで問われる!」コーナーを設け,さらには学習整理に役立つ「KEY WORD」や「解法ポイント」を使って,重層的かつ効率よい学習ができるように工夫されている。もちろん最新の国試出題形式に合わせて問題文・選択肢を変更し,合格への万全を期している。
このように,本書は単なる過去問集ではない。国試合格へ向けて体系的,効率的に学習することのできる,つまり包括的に国試対策に取り組むことのできる学習書であり,『国試がわかる本』という名もそこに由来する。
まずは思い切って多くの国試問題に触れてほしい。そうすることで「自分」の立地点を知ることができ,自分自身の学習の方向性が見えてくるであろう。── 真の国試対策は,そこからがスタートである。
本書の執筆者は,各大学及びTECOMで熱く学生諸氏を指導されている気鋭の執筆者たちで,重厚かつ温かみのある解説に満ちている。日々の学習にぜひ役立ててもらいたい。
合格に近道はない。ただ,合格への確実な道を選ぶことはできる。そして私たちは,その確実な道へと受験生を導くのがこの本である,と確信をもって言うことができる。
『国試がわかる本』編集委員会