看護師への道を選んだ皆さんが最初に学ばれる専門基礎分野の教科として「人体の構造と機能」があります。いわゆる「解剖と生理」とよばれる科目ですが,ほとんどの皆さんは「なじみのない用語」に対して面白味を感じる余裕もないまま過ごし,試験が近づいてくると持てる記憶力を暴力的に使って覚えこもうとするのです。これはもう自虐行為としか言いようがありません。
「人体の構造と機能」という教科は,本来は日常生活の中でふつうに起こっているさまざまな人体のはたらきを知る科目であり,その後に学ぶ「病気やケガをしたときの身体の反応」を理解するための基礎(常識)を身につけるのが目標です。小学生の患者さんに「ケガをするとどうして痛いの?」「ケガをしてもしばらくすると血が止まるのはなぜ?」と聞かれても落ち着いて説明できるようになってほしいのです。
本書は「看護師国家試験出題基準 平成26年版」に沿って改訂されました。最近の国家試験問題も含め,具体的な内容が確認できるように編集されています。また,身体の構造やしくみをイメージしやすいようにイラストを加え,さらに大切な用語は赤字表記するなど,授業の予習・復習で辞書のかわりに使ったり,試験前にチェックするための工夫が盛り込まれています。
本書の使い方としては「索引のマーク」が意外に有効です。索引を開いて,授業で先生が話された項目をマークするのです。試験前に索引をみれば「重要な項目には何度もマークされている」ということが一目瞭然!です。そのページを開いて学習すれば「暴力的暗記」から解放されること請け合いです。ぜひ試してみてください。
最後になりましたが,本書を活用することで,皆さんが「人体の構造と機能」を「楽しい!」と感じられるようになることを,医学評論社の全員と一緒に祈っています。
2016年1月
松村 讓兒